2026年版|WBGT28℃で何をすべき?屋外作業・建設現場の熱中症対策
2026年版|WBGT28℃で何をすべき?屋外作業・建設現場の熱中症対策
「お盆を迎えれば、暑さもそろそろ落ち着くだろう」
そう考えたくなる時期ですが、8月中旬以降も現場の熱中症対策を緩めるのは禁物です。
特に屋外作業、建設・土木、物流、警備、工場などでは、日中の強い日差しだけでなく、高い湿度、地面や建物からの輻射熱、連日の暑さによる疲労の蓄積など、さまざまな要因が作業者の身体に負担をかけます。
そこで現場責任者が改めて確認しておきたいのが、WBGT(暑さ指数)を基準にした暑熱管理です。
2025年6月1日からは、職場における熱中症対策も強化されています。
この記事では、
・WBGT28℃とはどの程度の暑さなのか
・企業に求められる熱中症対策とは何か
・現場責任者が朝礼で確認すべきこと
・WBGTが高い日に実施したい具体的な対策
・作業者に異変が起きた場合の対応
まで、現場ですぐに活用できる形で解説します。
WBGTとは?気温だけを見てはいけない理由
WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)は、熱中症を予防することを目的として使われる「暑さ指数」です。
現場では「今日の最高気温は何℃か」を確認することが多いと思います。
しかし、身体が感じる暑さや熱中症リスクは、気温だけでは判断できません。
WBGTでは、気温に加えて湿度や日射・輻射熱なども考慮して、身体にかかる熱ストレスを評価します。
例えば、同じ気温でも湿度が高ければ汗が蒸発しにくくなり、身体から熱を逃がしにくくなります。
また、炎天下の建設現場では、直射日光だけでなく、アスファルトやコンクリート、建物などから受ける輻射熱にも注意が必要です。
つまり、
「気温がそれほど高くないから大丈夫」
ではなく、
「今日のWBGTはどうなっているか」
で確認することが、現場の熱中症対策では重要です。
環境省の熱中症予防情報サイトでは、全国のWBGT実況値・予測値を確認できます。
なぜ「WBGT28℃」が重要なのか?
2025年6月1日、改正労働安全衛生規則が施行され、職場における熱中症対策が強化されました。
対象となる「熱中症を生ずるおそれのある作業」の目安として、
WBGT28℃以上 または 気温31℃以上
の環境下で、
連続して1時間以上
または
1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業
が示されています。
ここで非常に重要なのは、
「WBGT28℃になったら、すべての作業を一律に中止しなければならない」
という意味ではないことです。
対象となる作業について事業者に求められているのは、熱中症のおそれがある作業者を早期に発見し、重篤化を防ぐための体制をあらかじめ整えておくことです。
具体的には、
・熱中症のおそれがある人を発見した際の報告体制
・作業からの離脱
・身体冷却
・必要に応じた医療機関への搬送
・緊急連絡網や搬送先の整備
・これらの手順の関係作業者への周知
などが重要になります。
WBGT28℃以上ではどの程度注意すべき?
環境省が紹介する「日常生活に関する指針」や「運動に関する指針」でも、WBGTが高くなるにつれて熱中症への警戒レベルは上がります。
特にWBGT28℃以上31℃未満は「厳重警戒」に相当し、熱中症の危険性が高くなる領域です。
ただし、スポーツ・日常生活の指針と職場の作業管理基準は目的が異なります。
現場では単純に数値だけで作業可否を決めるのではなく、
・作業内容
・作業時間
・身体負荷
・作業場所
・日射
・服装・保護具
・作業者の体調
などを含めて判断することが重要です。
現場責任者が朝礼で確認したい5つの項目
熱中症対策は「暑くなってから考える」のでは遅い場合があります。
作業開始前の朝礼段階から、その日の暑さに応じた作業計画を組み立てておきましょう。
特に確認したいのが次の5項目です。
1.当日のWBGT予測
作業場所周辺のWBGT予測を確認します。
最高値だけではなく、何時ごろからWBGTが上昇するのかまで確認すると、作業計画を立てやすくなります。
2.作業場所・時間帯
炎天下で長時間行う作業や、風通しの悪い場所での作業がないか確認します。
高温になる時間帯を避けられる作業については、早朝などへの変更も検討します。
3.作業者の体調
睡眠不足、疲労、体調不良などがないか確認します。
本人からの自己申告だけに頼るのではなく、周囲から声をかけやすい環境をつくることも大切です。
4.休憩場所と休憩時間
「休憩時間を設けている」だけでは十分とは限りません。
日陰、送風、冷房など、身体から熱を逃がせる休憩環境が確保されているかまで確認しましょう。
5.緊急時の連絡・搬送手順
熱中症が疑われる人が出た場合、
「誰に報告するのか」
「誰が救急要請するのか」
「どこへ搬送するのか」
まで事前に共有しておくことが重要です。
現場で実践したい4つの熱中症対策
熱中症対策では、一つの方法だけに頼らないことが重要です。
MISSION LABでは、現場の暑熱対策を大きく
「環境」「運用」「人」「冷却」
の4つに分けて考えることをおすすめします。
対策①「環境」|暑さそのものの負荷を下げる
まず考えたいのが、作業環境そのものの改善です。
例えば、
・日陰や屋根を設置する
・風通しを確保する
・送風機を使用する
・涼しい休憩スペースを設ける
・WBGT計を設置する
などがあります。
作業者個人に対策を任せる前に、企業側が環境を改善できないかを考えることが第一歩です。
対策②「運用」|暑さに合わせて仕事の仕組みを変える
次に重要なのが作業計画です。
WBGTが高くなる時間帯が予測されている場合、
・作業時間を早朝へ移す
・連続作業時間を短くする
・休憩頻度を増やす
・作業を交代制にする
・身体負荷の大きい作業を避ける
など、暑さに合わせて運用を変更します。
「いつもこの時間に作業しているから」ではなく、その日の暑さに合わせて仕事を変える。
これが重要です。
対策③「人」|体調確認・水分・塩分補給を仕組み化する
「水分補給は各自でお願いします」
だけでは、忙しい現場ほど後回しになる可能性があります。
給水場所を決めたり、休憩と給水をセットにしたりするなど、個人任せにしない運用が重要です。
また、
睡眠不足、前日の疲労、食事状況、体調不良
などについても確認し、無理をさせない環境をつくりましょう。
対策④「冷却」|身体から熱を逃がす
環境・運用・体調管理とあわせて活用したいのが身体の冷却です。
例えば、
・冷却タオル
・ヘルメットライナー
・冷却キャップ
・アームカバー
・首まわりの冷却用品
など、作業内容に適した暑熱対策用品を活用します。
特に首まわりや頭部など、暑さを感じやすい部位を効率よく冷却することで、暑熱環境下での快適性をサポートできます。
ただし、冷却用品だけで熱中症を防げるわけではありません。
環境+運用+人+冷却
この4つを組み合わせることが基本です。

「本人が大丈夫と言っている」だけで判断しない
熱中症対策で特に注意したいのが、本人の自己申告だけに依存することです。
作業者本人が
「まだ大丈夫です」
「もう少しできます」
と言っていても、熱中症の症状が進んでいる可能性があります。
周囲が、
・いつもより返答が遅い
・顔色がおかしい
・ふらついている
・大量に汗をかいている、または発汗の様子がおかしい
・作業速度が急に落ちた
・力が入っていない
などの変化に気づく仕組みが必要です。
「本人が申告する」だけでなく「周囲が気づく」。
これも現場の安全管理の重要なポイントです。
熱中症が疑われたら「様子を見る」で終わらせない
作業者に異変が見られた場合は、速やかな対応が必要です。
まず作業から離脱させ、涼しい場所へ移動させます。
衣服を緩め、首、わきの下、足の付け根などを冷やし、身体から熱を逃がします。
意識がはっきりしていて、自力で安全に飲める場合は水分・塩分を補給します。
一方、
・意識がない
・呼びかけへの反応がおかしい
・自力で水分を摂れない
・症状が改善しない
・症状が悪化している
といった場合は、速やかに救急要請・医療機関受診につなげることが重要です。
熱中症では、「少し休ませて様子を見る」ことが重症化につながる可能性があります。
だからこそ、発症してから判断するのではなく、会社として事前に対応手順を決め、作業者全員に周知しておくことが重要です。
8月中旬以降も熱中症対策を終わらせない
8月中旬になると、
「暑さのピークは越えた」
という感覚が生まれやすくなります。
しかし、熱中症対策はカレンダーの日付で終了するものではありません。
その日のWBGT、気温、湿度、日射、作業内容、作業者の体調を確認しながら判断することが重要です。
環境省では2026年度も、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒情報等を10月21日まで提供しています。
夏後半から初秋にかけても、高温の日には引き続き現場管理を徹底しましょう。
まとめ|「WBGTを見る」から「WBGTで現場を動かす」へ
職場の熱中症対策で重要なのは、WBGTを確認すること自体ではありません。
重要なのは、
WBGTを確認した結果、現場をどう変えるか。
ということです。
・WBGTを確認する
・作業時間を調整する
・休憩環境を整える
・水分・塩分補給を仕組み化する
・身体を冷却する
・作業者の体調を確認する
・異変を早期発見する
・緊急時には速やかに対応する
これらを組み合わせて初めて、実効性のある暑熱対策になります。
MISSION LABでは、熱中症対策を単なる「暑さを我慢するための対策」ではなく、**働く人の安全とパフォーマンスを守るためのHEAT HEALTH™**という考え方で捉えています。
暑さが続く現場だからこそ、日々のWBGTを基準に、その日の環境に合った対策を実践していきましょう。
HEAT HEALTH™
暑さから、すべてのパフォーマンスを守る。
よくある質問(FAQ)
Q1. WBGT28℃になったら必ず作業中止ですか?
いいえ。WBGT28℃は職場の熱中症対策を考えるうえで重要な基準ですが、「すべての作業を一律に中止する基準」という意味ではありません。
作業内容、作業時間、身体負荷、服装、作業者の体調なども含めて判断し、必要に応じて作業時間の変更、休憩増加、身体冷却などを実施します。
Q2. 気温が31℃未満なら対象になりませんか?
いいえ。
職場における熱中症対策強化では、WBGT28℃以上または気温31℃以上という基準が示されています。
気温だけではなくWBGTも確認してください。
Q3. WBGTは朝だけ確認すればよいですか?
作業中に気温・湿度・日射などは変化します。
朝礼時だけではなく、作業時間中も状況を確認し、必要に応じて作業計画を変更することが重要です。
Q4. 冷却タオルを使えば熱中症を防げますか?
冷却用品だけで熱中症を完全に防ぐことはできません。
WBGT管理、休憩、水分・塩分補給、作業時間調整、体調管理などと組み合わせて活用してください。
Q5. 本人が「大丈夫」と言えば作業を続けてもよいですか?
本人の申告だけで判断するのは避けましょう。
周囲からの声かけや見守りによって、普段との違いを早期に発見できる体制を整えることが重要です。
Q6. 熱中症が疑われた場合、まず何をすべきですか?
まず作業から離脱させ、安全で涼しい場所へ移動し、身体を冷却します。
意識状態や症状を確認し、自力で水分を摂れない場合や症状が改善しない場合などは、速やかに救急要請・医療機関受診につなげてください。
Q7. 8月後半もWBGTを確認する必要がありますか?
はい。
日付ではなく、実際の気象条件と作業環境で判断することが重要です。残暑が続く時期もWBGTを確認してください。
Q8. 企業として何を準備しておけばよいですか?
WBGTの把握だけでなく、報告体制、熱中症発生時の対応手順、緊急連絡網、搬送先、休憩環境、給水体制、身体冷却用品などを事前に整備し、作業者へ周知しておくことが重要です。
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参考・外部情報
本記事の制度・WBGTに関する記載は、厚生労働省および環境省が公表している情報を参考にしています。
・厚生労働省|職場における熱中症対策
・環境省|熱中症予防情報サイト
・環境省|暑さ指数(WBGT)について
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